大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和38年(ネ)1756号 判決 1963年11月11日

東京都足立区本町四丁目四、九五七番地

控訴人

佐々木武雄

東京都足立区千住旭町五二番地

被控訴人

足立税務署長

山本芳雄

東京都千代田区大手町一丁目七番地

被控訴人

東京国税局長

武樋寅三郎

右被控訴人両名指定代理人

法務省訟務局付検事

片山邦宏

法務事務官

中田一男

東京国税局直税部国税訟務官

山木栄吉

岩本親志

川元昭典

みぎ当事者間の当庁昭和三八年(ネ)第一、七五六号所得税課税無効並に譲渡課税無効確認等請求控訴事件について、つぎのとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は「原判決をとりけす、被控訴人足立税務署長は控訴人にたいし昭和三六年度所得に課税した税額と不動産を譲渡した課税額合計金一一万五、〇〇〇円をとりけし、被控訴人東京国税局長は控訴人にたいし被控訴人足立税務署長が控訴人え昭和三六年度の所得と不動産譲渡に課税した合計税額金一一万五、〇〇〇円は無効であることを宣して課税を取消させよ、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との旨の判決を求め、被控訴人ら指定代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張、証拠の提出、援用、認否はつぎのとおりおぎなうほか、原判決事実らんにしるすとおりであるからこれを引用する。

一、現行所得税法によれば、所得税は賦課主義によらず、いわゆる申告納税主義をとり、政府の調査をまたず、納税者自身が所得と税額を申告することによつて、納税、義務が発生し、その納税は賦課徴収の方法によらず、納税者が自主的に申告と同時に納付書によつて納付するになつておるのである。本件においても控訴人の昭和三六年度分所得税が金一一万五、〇〇〇円と確定したのは控訴人自らの確定申告によるもので、被控訴人足立税務署長の課税処分によるものでないことは原判決説示のとおりである。

すなわち、控訴人の本訴請求を不適法として却下した原判決は相当であるからこれを認容すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九五条を各適用して主文のとおり判決する。

(裁判長判事 牧野威夫 判事 満田文彦 判事 浅賀栄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例